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ADRパターン実践時のトレードオフとの向き合い方

こんにちは、ナカエです。

少し前になりますが、4月のlaravel.osakaにてADR(Action-Domain-Responder)パターンについてのLTをさせていただきました。

ADRパターンというと1Action=1クラスという特徴に注目する方が多いですが、一番の見所はResponderですよ! Webアプリケーションの"ビュー"についを考え直しましょうという趣旨のものです。

スライドはほぼ理念の説明とメリットに終始したので、ADRパターン実践時の感想とトレードオフについて補足しておきます。

ADRパターンのデメリット

実際にADRパターンを試してみると、利点も多くありましたが、

  • Actionのファイルに1つ1つコンストラクタ注入を書くのがだるい
  • 複数のActionでメソッドを共有するときControllerでprivateメソッドのような楽ができない
  • Responderクラスをいちいち作るのが面倒
  • 処理がController以外に分散して一覧性が悪い

と感じました。同じような感想を抱く方は多いと思われます。

プログラミングは間接層の導入に伴う利便性とコストのトレードオフをどちらに倒すかという選択の連続です。ADRパターンにも、小クラス主義が故の保守性と実装の手間のトレードオフがあります。

目先のコード記述量の少なさを至上命題とするならば、初めの感触はよくないかもしれません。

もし新しいプロジェクトにADRを全面採用するのであれば、利用するフレームワークのベースの上にADRに寄り添うような改造を施すべきでしょう。

ADRのために設計されたWebフレームワークの力を借りるのも一手です。

たとえば、RadarPHPはADRのActionとRresponderのボイラープレートにかかる手間を吸収し、Domainの部分により注力できるようにした素晴らしいフレームワークです。

ADRとMVC2の間

ならば一般的なMVCフレームワークを使った既存のプロジェクトでADRパターンを実践することはできないでしょうか?

いえ、ADRパターンのエッセンスの一部はすぐにでも十分実用できます。

Controllerが神へと至るのを防ぐ

Actionクラスは、Actionメソッドを一つしか持たないControllerクラスとみなすことができます。

要はHTTPリクエストを引数にしてHTTPレスポンスを返すメソッド群をどうグルーピングしどう共通化するか、という問題への回答のうち最も極端な1つがADRパターンで推奨されているにすぎません。

特に1つのリソースに対して多機能だったり複雑な処理を行うアプリケーションを実装しようとする際はよく考えてみてください。CRUDにこだわらず、Actionメソッドが1つしかない、もしくは少ないControllerクラスをもっと気軽に作ってみましょう。

ControllerクラスのままでResponderの導入

HTTP MiddlewareやControllerに置いて、HTTPレスポンスを生成するコードが何回も出てきてDRYにならないとき、Responderを使ってコードの重複を防ぐこともできます。

個人的にはエラー発生時のHTTPレスポンスを生成するのに重宝しています。

まとめ

ADRには一般的に利用されているMVCに対してメリットデメリットがあり、全てのプロジェクトで全面採用すべきものではないでしょう。ですが、その一部を使うだけでも十分に恩恵を得ることができます。

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